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Charles Delioux
(1825年4月17日 - 1915年11月17日)

シャルル・ドリュー(Jean-Charles Delioux de Savignac, 1825-1915)は、フランスのピアニスト・作曲家。ブルターニュ地方の港湾都市ロリアンで生まれた彼は、海軍主計官であり熱心な音楽愛好家でもあった父から音楽の手ほどきを受け、幼くして才能を現した。1837年頃にジメルマンの邸宅でこの少年の演奏を初めて聴いたマルモンテルは、「単純で簡素な様式、非の打ちどころのない明晰な演奏、音の響きはペダルや力の効果の濫用から解放されていた。」と回想している。1839年には、国王ルイ=フィリップの御前で演奏をし、その後、英国女王の宮廷でも喝采を受けたという。

しかし、演奏家としての放浪生活よりも高度な音楽教育を受けることを望んだ彼は、パリでバルブロー(Auguste Barbereau, 1799-1879)に和声法を師事し、1845年には同地の音楽院に入学してアレヴィのクラスで対位法とフーガを学んだ。同年には対位法とフーガの第一次席賞を獲得しており、1847年にはカンタータ《天使とトビ L'Ange et Tobie》を作曲しローマ賞に応募している。

1849年に音楽院を卒業すると、ドリューは教育者としての道を歩んだ。その傍ら、オペラ=コミック《イヴォンヌとロイク Yvonne et Loïc》(1854)を作曲し成功を収めたが、自らの野心に対して謙虚であった彼は、その後、歌劇作曲家への道を進むことはなく、教育者としての活動やピアノ小品の作曲に身を捧げている。

ドリューは、作品番号にして100を超えるピアノ曲を残した。《ピアノのための完全なる練習教程 Cours complet d'exercices pour le piano Op.86》は、パリ音楽院の教材にも採用されている。他には、歌曲も残している。

マルモンテルは、ドリューが大衆と専門家の両方から同時に好評を得ることが出来た稀代の作曲家であったと証言している。また、彼の作品については「着想の率直さ、提示部の明確さ、優雅な旋律線、和声の気品において抜きん出ている」と評価している。

  1. フェティスは生年を1830年、マルモンテルは1828年としている
  2. A. Marmontel 『Virtuoses contemporains』 p.228
  3. 同 p.231
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